【法文】
学説彙纂第1巻第14章第3法文
【法文の典拠】
Corpus Iuris Civilis Vol. I. (ed. 14) Mommsen-Krüger, Digesta, MCMXXII
【inscriptio】
Ulpianus libro trigensimo octauo ad Sabinum
ウルピアーヌス(サビーヌス註解第三十八巻)
【翻訳】
バルバリウ・フヰリププスなる者は逃亡奴隷なりしが羅馬に於て法務官の地位を争ひ遂に之に選任せられたり。ポームポーニウスは曰く本人が奴隷たりしが為めに其の法務官たるの地位に何等の障碍を蒙むること無しと、事実本人は法務官の職務を遂行したるなり。然れども次の問題は尚、吾人の須らく考慮すべきものなり、一奴隷が其の地位の未だ世人に知られざる間に執行したる法務官の職務は如何に之を論ずべきか、其の告示又は命令は無効なるべきか、人々が法律其の他の規定に依り法務官の官庁に於て為したる法律上の行為は其の利益の為めに之を有効と見るべきか、按ずるに該法務官の行為は決して無効と見るべきものに非ず、「是れ最も人道に適せる見解なり」、蓋し羅馬国民は奴隷にも此の如き権力を付与するの権能を有し又若し本人の奴隷たることを知りたりせば之を自由人と為したるべければなり。羅馬国民にして此の権能を行使すること此の如し況んや皇帝に於てをや。
【注】

【訳者】
春木一郎
【出典】
春木一郎『ユースティーニアーヌス帝学説彙纂プロータ』(有斐閣、1938年)
【備考】