【法文】
学説彙纂第1巻第18章第14法文
【法文の典拠】
Corpus Iuris Civilis Vol. I. (ed. 14) Mommsen-Krüger, Digesta, MCMXXII
【inscriptio】
Macer libro secundo de iudiciis publicis
マケル(公裁判に付て第二巻)
【翻訳】
神皇マルクス及びコムモヅスはスカプラ・テルツルロに左の如き指令を下せり、『汝若しアイリウス・プリースクスが常時心神を喪失し一切の知覚を欠如せる発狂状態に在ることを確認し其の佯狂して母を殺害したるの疑を容るるの余地なきときは之が処罰の如何を度外に置きて可なり何故となれば精神錯乱の事実其のものは本人に対する制裁として既に余りあればなり。但し本人は厳重に之を監護することを要す又若し必要と認むるときは一歩を進めて鎖を以て之を拘束することを要す何故となれば此の手段は本人に対する制裁にして又其の保護なると共に周囲の人々の安全とを図るものなればなり。然れども従来往々見るが如く本人は精神状態一時回復してその間に凶行を敢てしたるに非ざるか随て疾病を理由として宥恕すべき限に非ざるかの問題を精査すべし而して若し此の如き疑ふべき状況を発見したるときは先づ之を朕に奏し以て朕をして本人が自覚ありと認め得べき場合に大罪を敢てしたるときは之に相当したる刑罰を科すべきや否やを顧慮せしめよ。然るに汝の書面に依れば彼の精神錯乱者は自己の別荘に在りて家人の監護を受くるが如き高き地位と身分とを有する者なれば、朕は彼の凶行の当時に本人監督の任に当りたる者を召喚して其の重大なる怠慢の理由を審査し且つ其の過失の程度如何を裁定し以て各監視者の処分を行ふを以て汝の採るべき至当なる手続なりと思惟す、何故となれば監視者は精神錯乱者をして自己に危害を加へしめざるのみならず他人に対しても亦災厄を生ぜざらしめんが為めに設けらるるものなればなり、故に若し此の如き災厄にして生ずるときは之を任務懈怠者の責に帰すべきは当然とす。』
【注】
【訳者】
春木一郎
【出典】
春木一郎『ユースティーニアーヌス帝学説彙纂プロータ』(有斐閣、1938年)
【備考】