【法文】
学説彙纂第1巻第5章第15法文
【法文の典拠】
Corpus Iuris Civilis Vol. I. (ed. 14) Mommsen-Krüger, Digesta, MCMXXII
【inscriptio】
Tryphoninus libro decimo disputationum
ツリフホニヌス(質疑録第十巻)
【翻訳】
遺言を以てアレスクーサが若し、三児を生みたらんには之を自由人たらしむべしと命ぜられたるに此の女奴は第一回に一児を分娩し第二回に三児を分娩したり、是に於て此等の数児中に果して自由人と為りたる者ありや若し之れありとせば何れの児なりやの疑問を生ぜり。『解答』 [1]出生児の何れかに自由を付与するが為めに附せられたる条件は母たる婦女の身に於て分娩の当時既に成就したることを要す。然れども茲に疑の存せざるは最終の出生児が自由人なること是れなり、何故となれば凡そ一呼吸にて二児が同時に母体より出で、為めに出生者の順位が不確定にして何れが奴隷として出生し何れが自由人として出生したるかの不分明なることは自然の許さざる所なり。故に最終の出産作用の開始と共に条件は既に成就し其の効果に因りて此の出生児は自由女の出と為るべし是れ恰も或他の条件を附して其の婦女に自由を付与する場合に出産と同時に其の条件の成就すると相同じ。例へば婦女が其の解放者の相続人又はチチウスに一万セーステルチウムを与へたるときは、之を自由人たらしむべしと条件附に解放せられたる場合に其の婦女が出産に当りて第三者の手を経て条件を成就せしめたるときは、之を自由女として出産したる者と認むべきが如し。
【注】
[1]訳註、英訳に従ひ便宜の為め解答の二語を挿入す
【訳者】
春木一郎
【出典】
春木一郎『ユースティーニアーヌス帝学説彙纂プロータ』(有斐閣、1938年)
【備考】