【法文】
学説彙纂第1巻第6章第2法文
【法文の典拠】
Corpus Iuris Civilis Vol. I. (ed. 14) Mommsen-Krüger, Digesta, MCMXXII
【inscriptio】
Ulpianus libro octauo de officio proconsulis
ウルピアーヌス(前執政官の職務に付て第八巻)
【翻訳】
主人が奴隷を虐待し又は之を強ひて猥褻行為を行はしめ若は淫猥なる暴行を受けしめたる場合地方長官の執るべき適当なる処置は神皇ピウスがバイチカ県長官アイリウス・マルキアーヌスに与へたる指令に依りて明瞭に之を知ることを得べし。其の指令文は左の如し、『主人の其の奴隷に対する権力は之を削減すべきものに非ず、又何人の権利と雖も之を剥奪すべきものに非ず、然れども虐待、飢餓若は堪へ難き迫害の為め適法に哀訴する奴隷に対して救済を拒否せざるは寧ろ主人たる者の利益なり故に汝はアリリウス・サビーヌス家の奴隷にして彼の肖像の下に逃入したるものの哀訴を聴き若し此等の奴隷が法外の虐待を受け又は恥づべき陵辱を蒙りたることを認むるときは其の奴隷をして現主人の権内に復帰せしめざらんが為めに須らく其の売却を命ずべし。而して主人若し謀計を廻らして朕の規定を潜脱せんとせば朕は厳罰を以て其の犯行に臨むべし。』神皇ハドリアーヌスも曩にウムブリキア家の一夫人を五年の追放に処したり是れ極めて軽微なる理由に因り数名の女奴を苛酷に取扱ひたるが為めなり。
【注】

【訳者】
春木一郎
【出典】
春木一郎『ユースティーニアーヌス帝学説彙纂プロータ』(有斐閣、1938年)
【備考】