【法文】
学説彙纂第2巻第1章第9法文
【法文の典拠】
Corpus Iuris Civilis Vol. I. (ed. 14) Mommsen-Krüger, Digesta, MCMXXII
【inscriptio】
Paulus libro tertio ad edictum
パウルス(告示註解第三巻)
【翻訳】
若し或者に属する奴隷等が白表を損害したるときは告示は盗取の場合と同一には之を論せず盗取の場合には主人が奴隷を弁護せんと欲して加害者が自由人なる場合に給付すべき金額と同一の金額を加害奴隷の一人の名義を以て給付したるときは他の盗取者に対する訴権は付与せられずと規定す、此の如く白表損害者を盗取者と同一に論ぜざるは惟ふに本問の場合には告示の目的が法務官の威信に加へたる侮辱を制裁せんとするに在りて事件を各個多数の行為ありたるものと認めたるが為めなり、多数の奴隷が人の名誉を毀損し「又は財産に対して損害を加へたる」場合も亦本問の場合と同一に取扱ふべきものとす蓋し亦数多の別個の行為ありて盗取の場合の如く単一の行為ありたるに非ざればなり。オークターヴエーヌスは曰く本問の場合に付ても主人の利益に決すべきものなりと、然れども此の説は数人の奴隷が悪意に他人をして白表を損害せしめたる場合にのみ適切なりとす何故となれは此の場合には単一なる共通の意思ありて数個の行為なければなり。ポームポーニウスは同一の趣旨を第十巻に於て承認す[1]。
【注】
[1]訳注、「承認す」の原語はnotatなり。C.I.G. (171)に拠るにnotatはprobatなり。
【訳者】
春木一郎
【出典】
春木一郎『ユースティーニアーヌス帝学説彙纂プロータ』(有斐閣、1938年)
【備考】