【法文】
学説彙纂第2巻第11章第10法文第2項
【法文の典拠】
Corpus Iuris Civilis Vol. I. (ed. 14) Mommsen-Krüger, Digesta, MCMXXII
【inscriptio】
Paulus libro primo ad Plautium
パウルス(プラウチウス註解第一巻)
【翻訳】
名誉毀損の訴を為さんと欲する者が争点決定以前に相手方の「法廷」出頭を要約したるに、問答契約の履行期到来の後に死亡したり。此の場合に学説は要約者の相続人は問答契約の訴権を有せざるものと決定したり何故となれば此の如き問答契約の訴権は主たる訴権のために附与せらるるものにして名誉毀損訴権は被害者の相続人に附与せられざればなり。之を要するに縦ひ法廷に出頭することを担保する為め締結せられたる此の種の問答契約の利益は相続人に移転すと雖も本件の場合には相続人は問答契約の訴権を有すべきに非ず、何故となれば死亡者が名誉毀損訴権を放棄したるに拘らず問答契約の訴権を実行せんと欲したりとするも許されざるべかりしを以てなり。同一に決すべきは予が名誉毀損訴権の被告と為さんと欲したる者が此の如き問答契約の履行期前に死亡したる場合なり、是れ予は名誉毀損者の相続人に対して問答契約の訴権を有せざる故にしてユーリアーヌスも其の見解を同うす。随て又「保証人」の設けられたる場合に被告が死亡したるときは保証人は決して訴へらるることなかるべし。ポームポーニウスは被告が「長時の」後に死亡したる場合に付て亦決定を同うす、何故となれば若し死亡者が「法廷に」出頭したりせば原告は此れと争点決定を為すことを得ればなり。
【注】
【訳者】
春木一郎
【出典】
春木一郎『ユースティーニアーヌス帝学説彙纂プロータ』(有斐閣、1938年)
【備考】