【法文】
学説彙纂第2巻第11章第2法文第8項
【法文の典拠】
Corpus Iuris Civilis Vol. I. (ed. 14) Mommsen-Krüger, Digesta, MCMXXII
【inscriptio】
Ulpianus libro septuagensimo quarto ad edictum
ウルピアーヌス(告示註解第七十四巻)
【翻訳】
然れども或者が若し早く出発したるか又は適当なる時に航行したらんには暴風雨又は河の水勢の妨害を避くることを得べかりしを以て故障の原因は自ら招きたりと為すべきときは、抗弁の利益を受けざるべきか。此の点は事情審査の上にて決定せらるべきものとす。何故となれば一方に於ては約束期日前に早く出発せざりし理由を詰問し得べしとの厳格なる解釈を認むることを得ず又他方に於ては若し当人の責に帰すべき事由が存在するときは其の遅延は暴風雨又は河の水勢に因りたるものとして其の責を免除することを得ざればなり。例へば若し法廷に出頭すべきことを約せる当時に羅馬に在りたる者が一も緊急の必要なく単に行楽の為め地方に出発したるが如き場合には如何。此の如き者に対して此の抗弁権の保護を与ふる理由果して何処に在るか。又海上には暴風雨ありと雖も陸路を取らば法廷に赴くことを得べかりしとき、又は迂路を取りて渡河を避け得べかりしときは如何。此の如き場合に於ても亦当然の事として抗弁権の利益を享受せずと云はざるべからず、但し期限の短きが為め其の者が陸路を取り又は渡河を避くること能はざりしときは此の限に在らず。若し河水が増加し其の者の出頭すべかりし場所全体に氾濫したるか又は予見すべからざる災害の為めに其の場所が崩壊したるか又は之に近づくこと危険なりしときも衡平及び中正の道に基き此の抗弁権の附与あるべきものとす。
【注】
【訳者】
春木一郎
【出典】
春木一郎『ユースティーニアーヌス帝学説彙纂プロータ』(有斐閣、1938年)
【備考】