【法文】
学説彙纂第2巻第14章第58法文
【法文の典拠】
Corpus Iuris Civilis Vol. I. (ed. 14) Mommsen-Krüger, Digesta, MCMXXII
【inscriptio】
Neratius libro tertio membranarum
ネラーチウス(雑考第三巻
【翻訳】
凡そ相互に債務を負担せる当事者は総ての関係が原状を持続する間は相互の合意に依りて売買、賃借「其の他類似の債務関係より」脱離し得べきこと疑を容れず。アリストーは更に一歩を進めて其の見解を述べて曰く若し予が売主として汝に給付すべきものを既に給付したる汝は尚、予に対して代金を負担するが故に予と汝との間に合意して汝は予が前に給付したる売買の目的物に関する総てのものを予に返還し以て代金を負担せざることとし因りて汝が予に総てのものを返還したるときは、汝の代金支払の債務は消滅す何故となれば総て是等の場合に適合する誠意律に拠るの解釈は此の如き合意をも認むればなりと。又吾人が相互に負担したる債務を各未だ履行せざるに当りて共に此の契約関係より脱離すべきことを合意するとも又は予が既に汝に給付したるものの返還を受けたる後に汝が契約に因る給付を予に為さざるべきことを互に合意するとも其の間に径庭あること無し。茲に従前の行為を無効ならしむる目的を以て締結せる約束に依りて到底実行せられざる一事あり即ち予が既に汝に給付したるものを右の方法に依り汝を強要して反対に予に給付せしめ得ざること是れなり、何故となれば若し此の如きことありとせば吾人の行為は従前の契約関係より脱離するに非ずして新債務関係を吾人間に発生するの結果を生ずればなり。
【注】

【訳者】
春木一郎
【出典】
春木一郎『ユースティーニアーヌス帝学説彙纂プロータ』(有斐閣、1938年)
【備考】