【法文】
学説彙纂第2巻第14章第7法文第18項
【法文の典拠】
Corpus Iuris Civilis Vol. I. (ed. 14) Mommsen-Krüger, Digesta, MCMXXII
【inscriptio】
Ulpianus libro quarto ad edictum
ウルピアーヌス(告示註解第四項)
【翻訳】
然れども若し奴隷が自由と共に遺産を取得する以前に右の如き約束を為すときは条件附にて相続人に指定せられたるものなるが故に其の約束は有効ならざるべしとはヴヰーンヂウスの説ける所なり、而してマルケルルスは無条件にて相続人に指定せられたる自権者相続人及び奴隷たる必然相続人が相続事務に関与する以前に此の如き約束を為すときは其の約束は有効なりと法学大全第十八巻に於て其の見解を記す。此の見解は正当とす。マルケルルスは家外相続人に付ても亦同様の説を為し若し家外相続人が債権者の委託に因りて相続承認を為したるときは委任訴権を有すと論ず。然れども吾人が前に説きたるが如く、若し或者が奴隷状態に在る間に約束を為したるときは其の者が自由を得たる後と雖も奴隷状態に在る間に約束を為したるときは其の者が自由を得たる後と雖も奴隷状態に在る間の行為に因りて利益を得るを以て慣例とするが故にマルケルルスは其の約束の有効なることを否定す、此の説は約束の抗弁権に付て之を承認すべきものとす。然れども悪意の抗弁権も亦之を拒否すべきや否やは疑問なり。マルケルルスは同様の場合に関して嘗て疑を抱きたるも遂に此の抗弁権を許すべきものと決したり、例へば相続人に指定せられたる家男が債権者と約束を為したる後に家長権免除を受け而して相続を承認したり、此の場合にマルケルルスは曰く家児は悪意の抗弁権を行使することを得と。マルケルルスは又息男が其の父の生存中に父の債権者と約束を為したる場合にも同一の見解を持し且つ曰く此の場合にも悪意の抗弁権を認むべしと。「又此の抗弁権は奴隷の場合に付ても亦拒否すべきものに非ず。」
【注】
【訳者】
春木一郎
【出典】
春木一郎『ユースティーニアーヌス帝学説彙纂プロータ』(有斐閣、1938年)
【備考】