【法文】
学説彙纂第2巻第15章第1法文
【法文の典拠】
Corpus Iuris Civilis Vol. I. (ed. 14) Mommsen-Krüger, Digesta, MCMXXII
【inscriptio】
Ulpianus libro quinquagensimo ad edictum
ウルピアーヌス(告示註解第五十巻)
【翻訳】
凡そ和解を為す者は自ら疑はしく信ずる事項にして審理の結果不確定なる未決の争議あるものに付て之を為す。之と異なり約束を締結する者は贈与の意思を以て[1]恩恵的に確定、疑なき権利を免除す。[2]

【注】
[1]訳註、無償にと云ふと同じ
[2]訳註、本条文は和解と無償の約束との区別を説きたるものにして、未だ以て直に和解の何たるかを知るに足らざるの感なきに非ず(和解の定義として本条文の不十分なることは Oertmann, der Vergleich, SS. 8-9参照)。今参考の為めに故梅先生の和解の定義を掲ぐれば和解とは二人以上の者が相互間の法律関係に付て存在せる争議若は不確定を相互の譲歩に依りて終了せしむるを以て目的と為す契約を謂ふ。(Oume Kendjiro, de la transaction, p. 2, 1889)序ながら記す、Oertmann先生は故梅先生の此の有名なる学位請求論文を概評して曰く、此の書は少壮なる日本人の論文にして一頁乃至二百七十頁に羅馬法の和解を詳論す、著書の説く所は人を啓発する思想頗る多く説明の方法亦巧妙なりと(Oertmann, a, a, O. S. 4)
【訳者】
春木一郎
【出典】
春木一郎『ユースティーニアーヌス帝学説彙纂プロータ』(有斐閣、1938年)
【備考】