【法文】
学説彙纂第2巻第15章第3法文第2項
【法文の典拠】
Corpus Iuris Civilis Vol. I. (ed. 14) Mommsen-Krüger, Digesta, MCMXXII
【inscriptio】
Scaeuola libro primo digestorum
スカイヴオラ(法学大全第一巻)
【翻訳】
債権者は債務者の質物を売却したりマイヴヰウスなる者ありて債権者の法定相続人なりと自称せり債務者は極めて不利益なる条件を以てマイヴヰウスと和解したり[1]其の後に債権者の遺言書の提示ありたるため真の相続人はセープチキウスなること判明したり。此の場合に債務者がセープチキウスに対して質訴権を実行するときはセープチキウスは債務者が曩に[2]真の相続人ならざりしマイヴヰウスと締結したる和解を原因とする抗弁を提出することを得るや否や又セープチキウスは債務者がマイヴヰウスを債権者の相続人なりと思惟して之に支払ひたる金銭をマイヴヰウスが自ら相続人なりと詐はりて受領したるものとして返還請求権を行使し得べきや否や。解答に曰く前示の事実に依ればセープチキウスは双方共に之を為すことを得ず、何故となればセープチキウスは自ら債務者と和解せるに非ず又マイヴヰウスはセープチキウスの事務管理者として金銭を受領したるに非ざればなり。
【注】
[1]訳註、債権者が質物を売却するに関して不適当なる行為ありたるが故に債務者損害賠償請求権を取得したり。因りて和解ありたるなり
[2]訳註、モムゼンは遺言に於てと、読む
【訳者】
春木一郎
【出典】
春木一郎『ユースティーニアーヌス帝学説彙纂プロータ』(有斐閣、1938年)
【備考】