【法文】
学説彙纂第3巻第5章第12(13)法文
【法文の典拠】
Corpus Iuris Civilis Vol. I. (ed. 14) Mommsen-Krüger, Digesta, MCMXXII
【inscriptio】
Paulus libro nono ad edictum
パウルス(告示註解第九巻)
【翻訳】
予の債務者は予に五十を負ひて死亡し、予は其の遺産を管理して自ら十を支出したり、其の後予は遺産に属する物の売却に因りて取得したる百を金櫃に貯蔵したるも、此の百は予の過失に因らずして滅失したり。是に於て、予は、結局、相続人と為りたる者に対して五十の貸金又は予が支出したる十に付て請求訴訟を為し得べきや否やの問題起れり。ユーリアーヌスの書に曰く、本問は予が百を貯蔵するに付て正当なる理由を有したりや否やを以て考究の要点とす。何故となれば、予が予並びに他の相続債権者に弁済することを要したる場合には、啻に六十に付てのみならず残余の四十に付ても亦危険を負担すべきものなればなり、但し予が支出したる十は之を保留することを得、換言すれば予は九十のみを返還すべきものとす。 [1]然れども、予にして若し正当なる理由に因りて金百を保管したる場合、即ち例へば不動産をして国庫に没収せらるるの虞なからしめんが為め [2]又は海上消費貸借の違約金を増加せしめざらんが為め又は仲裁契約に因る履行の請求に応じ得べきが為めの如き場合には、予は啻に予が遺産保存の為めに支出したる十のみならず当初の貸金五十をも相続人に対して請求することを得と。
【注】
[1]訳註、原文"id est sola nonaginta restituenda"は或は後人の註釈に本文中に混入したるに非ざるかと愚考す
[2]訳註、土地税の上納無きときは其の土地を没収す
【訳者】
春木一郎
【出典】
春木一郎『ユースティーニアーヌス帝学説彙纂プロータ』(有斐閣、1938年)
【備考】