【法文】
学説彙纂第3巻第5章第8(9)法文
【法文の典拠】
Corpus Iuris Civilis Vol. I. (ed. 14) Mommsen-Krüger, Digesta, MCMXXII
【inscriptio】
Scaeuola libro primo quaestionum
スカイヴオラ(質疑録第一巻)
【翻訳】
ポームポーニウスの書に曰く、汝が予の事務を管理し予が汝の行為を承認したるときは、汝の管理が宜しきを得ざる場合と雖も、汝は予に対して事務管理の訴権に依る責を負はざるべしと。因りて茲に考究すべき一問題あり、即ち予が承認するや否やが疑はしき間は事務管理訴権の成立を不確定と為すべきに非ざるかと云ふこと是れなり、何故となれば、一度発生したる訴権が之を有する当事者の意思のみに因りて消滅せしめらるることは、決して之を認むることを得ざればなり。然れども、ポームポーニウスの思惟する所に拠れば、汝に悪意無きときは上記の規則を以て正当とす。是に於てスカイヴオラは左の見解を附加せんとす、即ち予の思惟する所にては、縦ひ予が承認したる場合と雖も、予は、尚、事務管理の訴権を有す、夫の汝が予に対して責を負はずと云ふは、予は予が一度承認したる事を否認することを得ずと云ふの意に過ぎず、而して、有益に管理せられたる事務が審判人の前に提出せられたるときは必ずや有効と認めらるべきと同じく、総て当事者が自ら承認したる事も亦有効ならざるべからず云々と。然れども、予が承認したる場合に予は事務管理の訴権を有せずとすれば、事務管理者が予の債務者より金銭を取立て予が之を承認したる場合は如何なるべきか、此の場合に予は如何にして之を事務管理者より取戻し得べきか、又事務管理者が予の物を売却したる場合は如何なるべきか、其の他事務管理者が予の為めに金銭を支出したる場合には如何にして之を求償し得べきか、何故となれば右の如き場合には請求の原因たるべき委任の存在無ければなり。故に追認後と雖も事務管理の訴権は存在するものなるべし。
【注】
【訳者】
春木一郎
【出典】
春木一郎『ユースティーニアーヌス帝学説彙纂プロータ』(有斐閣、1938年)
【備考】