【法文】
学説彙纂第4巻第2章第14法文第11項
【法文の典拠】
Corpus Iuris Civilis Vol. I. (ed. 14) Mommsen-Krüger, Digesta, MCMXXII
【inscriptio】
Ulpianus libro undecimo ad edictum
ウルピアーヌス(告示註解第十一巻)
【翻訳】
暴力を加へたるが為め責ありとの判決を受けたる者の悪意若は過失なくして奴隷が死亡したるときは如何なる規則を用ゆべきか、「此の場合に於て奴隷が執行訴訟の提起せらるべき期間内に死亡するときは被告に対する有責の判決は斟酌せらるべし何故となれば被告は其の不法行為に対し三倍額の罰金の給付を強制せらるればなり。然れども逃亡中なりと思はるる奴隷に在りては被告は之を追捕して必ず返還すべきことを担保する問答契約を為すことを要す、此の場合に於ても被強迫者は対物訴権又は提示請求権又は目的物の返還を請求し得べき其の他の訴権を完全に保留することを得べし随て所有者が何等かの方法に依りて奴隷を回復したるときは問答契約に依りて訴へらるる被告は抗弁に依りて完全に保護せらるべし。総て此等の規定は有責の判決の宣告ありたる後に適用せらるるものとす、然れども判決以前に奴隷が被告の悪意又は過失に因らずして死亡したるときは被告は責を負ふべきものとす」是れ告示中に謂はゆる『又目的物が審判人の裁定に従つて返還せられざるときは』なる文言の結果なり。故に奴隷が被告の悪意又は過失に因らずして遁亡したるときは被告は審判人の裁判人の裁定に従うて其の奴隷を追捕し之を原告に返還すべきことを担保することを要す。「又被告の過失に因らずして目的物を喪失したるときと雖も被告が相手方を強迫せざりせば喪失を生ぜざりし場合には被告は責を負ふべし、此点は暴力に関する特示命令及び暴力若は隠密に関する特示命令の場合に於ける慣例と相同じ。故に強迫を受けざりせば自己の奴隷を売りたらん者は死亡したる奴隷の代金の弁償を受くること往々にしてあり」。
【注】

【訳者】
春木一郎
【出典】
春木一郎『ユースティーニアーヌス帝学説彙纂プロータ』有斐閣(1938)
【備考】