【法文】
学説彙纂第4巻第2章第14法文第5項
【法文の典拠】
Corpus Iuris Civilis Vol. I. (ed. 14) Mommsen-Krüger, Digesta, MCMXXII
【inscriptio】
Ulpianus libro undecimo ad edictum
ウルピアーヌス(告示註解第十一巻)
【翻訳】
然れども時としては強迫の事実ありたる場合と雖も審判人の判決は以て被告を免訴せしむることあり。例へばチチウスが予の共謀なくして人を強迫し因りて取得したる物が予の有に帰し其の後予の悪意なくして其のものが消失したるときは、予は審判人の職権に依りて免訴せられ、又目的物たる奴隷が遁亡したる場合に於ては、審判人が予に命ずるに奴隷が予の権力に復帰するときは之を返還すべきの担保問答契約を為すべきことを以てするときは予は免訴の判決を受くるが如し。随て暴力を加へたる者より善意に物を買得したる者又は贈与を受けたる者又は遺贈を受けたる者は此の訴権に依り責を負はずと唱ふる学者あり。然れどもヴヰヴヰアーヌスは此等の者も亦責を負ふべきものとす然らざれば予は予の受けたる強迫の為めに不利益を蒙ればなりと極めて正当なる主張を有す。又ペーヂウスが其の著第十八巻中に記す所に拠れば縦ひ目的物が他人の手に帰したりとも暴力を加へたる者及び縦ひ暴力を加へたる者は他人なるも目的物を取得したる者は物の返還事件に付ての審判人の裁定権の効力に依りて其の返還を命ぜらる、何故となれば何人と雖も第三者が他人に強迫を加へたる結果として利益を受くべきものに非ざればなり。
【注】
【訳者】
春木一郎
【出典】
春木一郎『ユースティーニアーヌス帝学説彙纂プロータ』有斐閣(1938)
【備考】