【法文】
学説彙纂第4巻第2章第9法文第3項
【法文の典拠】
Corpus Iuris Civilis Vol. I. (ed. 14) Mommsen-Krüger, Digesta, MCMXXII
【inscriptio】
Ulpianus libro undecimo ad edictum
ウルピアーヌス(告示註解第十一巻)
【翻訳】
茲に法務官が謂はゆる『本職はヽヽヽヽ行為を有効と認めざるべし』との宣言の適用の範囲を研究せんとす。蓋し当事者が恐怖を起したる場合と雖も法律行為が不完全なることあるべし例へば問答契約の締結あるも其の原因たる金銭の交付が未だ実行せられざるときの如し又或は完全なることあるべし例へば問答契約の締結ありて金銭の交付が実行せられたるとき又は債務者が債権者に恐怖を起さしめて要式免除契約を為さしめ以て債務の免除を受けたるとき其の他類似の事実に因りて法律行為を完了したるときの如し。又ポームポーニウスの記す所に拠れば法律行為が完全なる場合には当事者は時として抗弁権及び訴権を有することあるも法律行為の不完全なる場合には唯抗弁権を有するのみ。然れども予の知れる事実に拠ればカプアの住民が或者に恐怖を起さしめて金銭支払の約束証書を強取したる場合に我皇帝は被害者は法務官に原状回復を申請することを得べしと指令したり是に於て法務官は顧問たる予の列席の上、被害者がカプアの住民に対して訴権を実行せんと欲するときは之を許すべく又若し抗弁権を実行せんと欲するときは之を為すことを得べき旨を宣言したり。故に法律行為の完全と不完全とを問はず訴権並びに抗弁権の実行を為し得るに至りたるは右の勅法に因るものなり。
【注】
【訳者】
春木一郎
【出典】
春木一郎『ユースティーニアーヌス帝学説彙纂プロータ』有斐閣(1938)
【備考】