【法文】
学説彙纂第4巻第3章第7法文第3項
【法文の典拠】
Corpus Iuris Civilis Vol. I. (ed. 14) Mommsen-Krüger, Digesta, MCMXXII
【inscriptio】
Ulpianus libro undecimo ad edictum
ウルピアーヌス(告示註解第十一巻)
【翻訳】
ラベオーは他の訴権が存在せざる場合のみならず又他の訴権の存在するや否やに付て疑ある場合と雖も悪意の訴権の附与あるべきものと為し左の場合を挙ぐ。即ち売買又は問答契約を原因として予に対して一奴隷を給付すべきの債務を負ふ者が其の奴隷に毒を与へ其の状態に於て之を「引渡したり。」或は又其の者が一区の土地を給付すべき債務を負ひ「未だ之を引渡さざる間に」之に役権を設定し又は建物を取崩し又は樹木を伐倒し又は之を根抜にしたり、此等の場合に付てラベオーは曰く其の者は問答契約を以て悪意に付て責を負ふの担保を為したると否とを問はず悪意の訴権の実行を受けざるべからず何故となれば此の如き担保を為したる場合と雖も問答契約の訴権が成立するや否やは疑問なればなりと。「然れども正当なる見解は左の如し即ち悪意に付て担保する問答契約の存在したるときは悪意の訴権の適用無し何故となれば此の場合には問答契約の訴権が存在すればなり、悪意に付て担保する問答契約の存在せざる場合に売買に因る訴権の実行あるときは悪意の訴権の適用無し何故となれば売買訴権が存在すればなり、然れども問答契約の訴権の実行を許す場合には悪意の訴権を必要とす。」
【注】

【訳者】
春木一郎
【出典】
春木一郎『ユースティーニアーヌス帝学説彙纂プロータ』有斐閣(1938)
【備考】