【法文】
学説彙纂第4巻第4章第11法文第5項
【法文の典拠】
Corpus Iuris Civilis Vol. I. (ed. 14) Mommsen-Krüger, Digesta, MCMXXII
【inscriptio】
Ulpianus libro undecimo ad edictum
ウルピアーヌス(告示註解第十一巻)
【翻訳】
或者が富裕者の相続人と為りたるに遺産が不意に滅失したる場合(例へば土地が地滑りに因りて消滅し家屋が焼失し奴隷が遁亡若は死亡したる如き)に付ては、ユーリアーヌスは其の著第四十六巻に於て若し其の相続人が未成年者なるときは原状に回復せらるることを得べしと云ふ語を用ゐるも、マルケルルスはユーリアーヌスの此の語に註して原状回復は不成立なり、何故となれば其の未成年者は裕福なる相続の承認を為すに当り決して成年の無思慮の為めに不利益を蒙りたること無し偶然の厄災の如きは如何なる家長が如何に至重の注意を加ふるも、尚且つ免るることを得ざるものなればなりと。然れども未成年者は左の如き事情の場合に於ては原状回復を受くることを得ん即ち一面には死亡に因りて滅失すべき多数の物若は建物ある土地を包含するも他面には重き債務者を負へる相続を承認したるに奴隷が死亡し不動産が廃滅に帰するの虞あることを予見せず又は種々の事変に遭遇すべき物を速やかに売却せざりし場合是なり。
【注】

【訳者】
春木一郎
【出典】
春木一郎『ユースティーニアーヌス帝学説彙纂プロータ』有斐閣(1938)
【備考】