【法文】
学説彙纂第4巻第3章第3法文第1項
【法文の典拠】
Corpus Iuris Civilis Vol. I. (ed. 14) Mommsen-Krüger, Digesta, MCMXXII
【inscriptio】
Idem(Ulpianus) libro undecimo ad edictum
同人(告示註解第十一巻)
【翻訳】
若し或者が未成年者と契約を締結し而して其の未成年者が成年に達したる後に其の契約の効力発生したるときは着眼すべき点は行為の始なりや又は終なりや。左の原則は学説の認むる所にして又法の規定せる所なり即ち何人と雖も成年者と為りたる後、未成年者たりし間に為したる行為を承認したるときは原状回復の適用無し。随てケルススが法務官フラーヴヰウス・レースペークツスより意見を求められたる点に対し書簡集第十一巻及び法学大全第二巻に於て論ぜる所は頗る適切なり。其の問題の点は二十五年未満者例へば二十四年の者が後見人の相続人に対して後見訴訟を提起したるに訴訟の結果として(訴訟の落着前に原告は既に満二十五年の成年に達したり)後見人の相続人は責無しと宣言せられたるを以て原告は原状回復を請求したりと云ふに在り。是に於てケルススはレースペークツスに対し前に未成年者たりし右の者は固より原状回復を得べきものに非ず然れども若し相手方が詭計を用ゐて原告が成年者と為りたる後に責無しとの判決を受けんとしたるの事実が法務官に対して証明せられたるときは原告は茲に始めて原状回復を得べきものなりとの意見を述べ且つ其理由を説明して曰く此の未成年者は裁判終局の日に於てのみ欺かれたるに非ず被告は此の未成年者の成年に達したる後に自己の免訴を得んとする如く全訴訟を計画したるものと認めらるればなりと。但しケルススは若し相手方が悪意を以て行動したりとの嫌疑が極めて軽きときは原告は原状回復を得ざるべきことを認むと附言せり。
【注】
【訳者】
春木一郎
【出典】
春木一郎『ユースティーニアーヌス帝学説彙纂プロータ』有斐閣(1938)
【備考】