【法文】
学説彙纂第4巻第3章第3法文第3項
【法文の典拠】
Corpus Iuris Civilis Vol. I. (ed. 14) Mommsen-Krüger, Digesta, MCMXXII
【inscriptio】
Idem(Ulpianus) libro undecimo ad edictum
同人(告示註解第十一巻)
【翻訳】
茲に考慮すべき一問題あり即ち茲に人あり其の二十六年目の出生日を迎ふるも出生時間以前には尚二十五年未満者なりとして若し其の者が詐欺せられたるときは原状に回復せらるべきものなりと云ふべきや否や。此場合には期間は瞬間より瞬間に至るまでの時を計算すべきものなるが故に右の者は未だ満二十五年に到達せざるものと云はざるべからず。[1]
同様に若し閏日に出生したるときは前の日(dies prior)たると後の日(dies posterior)たるとは問ふ所に非ずとケルススは其の著書に記す、何故となれば此の両日は一日と看做し後の日を以て挿入日と認むればなり。[2]
【注】
[1]訳註、期間の計算方法に二種あり。普通の方法をcompulatio civilis(法定計算)とす。是は暦の一日を不可分として期間を計算する方法なり。暦の一日は夜半より夜半なり。例外としてcompulatio naturalis(自然計算)の方法あり。此の方法は時期より時期までを計算するものにして、暦の一日を可分のものとす。此の計算法は普通の取引には適せず。故に例外なり。本条に在りては成年者を保護せんが為めに特に自然計算法を認めたるなり。或学者の説く所に拠れば同一物に於ける二個以上の質優の権先力を決するが為めには発生時期の先後に依る。此の先後を決するには一日を可分のものとす。親子の孰れが先に死亡したるかを決するにも亦然りと Czyhlarz-San Nocol), Lehrbuch der Inst. SS. 58-59, 18te Aufl. 1924
[2]訳註、ユーリウス、カイザルの紀元前四十五年一月一日より施行したる暦に拠れば四年毎に二月二十四日即ち三月一日前の六日目を二倍したり。因りてbisextus(bissextus)diesなる語あり。bisextusはdies prior(前の日)とdies posteriorとより成る。前の日及び後の日と云ふ語の前後は三月一日の遠近を云ふなり。(但し異説あり)尚、本法文の解釈にはD.50,16,98,pr.(Celsus)を参照
【訳者】
春木一郎
【出典】
春木一郎『ユースティーニアーヌス帝学説彙纂プロータ』有斐閣(1938)
【備考】