【法文】
学説彙纂第4巻第4章第37法文第一項
【法文の典拠】
Corpus Iuris Civilis Vol. I. (ed. 14) Mommsen-Krüger, Digesta, MCMXXII
【inscriptio】
Tryphoninus libro tertio desputationum
ツリフオニーヌス(質疑録第三巻)
【翻訳】
又夫が濫訴するに非ずして夫権に依り妻に対して姦通の告訴を為し得べき六十日の期間を経過したるときは夫は原状回復の申請を為すことを許されず、何故となれば今若し未成年者が其の一旦利用せざりし権利を回復せんと欲するときは是れ不法行為即ち濫訴の許可を請ふに等しければなり。且つ不法行為又は濫訴に付て法務官が救済を附与すべからざることは確定の規則なるが故に此の場合には原状回復を許さざるべし。不法行為に付ては二十五年未満者も原状回復を受くること能はず重き不法行為に付ては殊に然り但し時としては裁判官は若年を斟酌して寛大なる罰金を科することあり。然れども姦通の処罰に関するユーリア法の規則を見れば姦通を自白せる者と雖も未成年なることを理由として決して其の制裁の免除を請求することを得ず。又同法が姦通罪と同一に制裁する行為に付ても予の附言せる如く免除を受けざるべし例へば未成年者が姦通罪を犯したるものとして判決せられたる婦女なることを知りて之を娶り又は姦通行為中に捕へられたる自己の妻を去らず又は妻の姦通に依りて利得し又は自ら発見したる私通を隠蔽せんが為めに収賄し又は私通若は姦通の場所として自己の家屋を提供したる場合の如し、一方に於て法律に違反せるにも拘らず一方に於て法律の保護を要求する者の若年なるは法の規則に違反する免除の理由を為さず。
【注】

【訳者】
春木一郎
【出典】
春木一郎『ユースティーニアーヌス帝学説彙纂プロータ』有斐閣(1938)
【備考】