【法文】
学説彙纂第4巻第8章第31法文
【法文の典拠】
Corpus Iuris Civilis Vol. I. (ed. 14) Mommsen-Krüger, Digesta, MCMXXII
【inscriptio】
Ulpianus libro tertio decimo ad edictum
ウルピアーヌス(告示註解第十三巻)
【翻訳】
若し諾約者が問答契約に違反して何等かの行為を為すときは右の違反が要約者の悪意無くして為されたる場合に於てのみ該契約に因る罰金支払義務の履行の請求を為すことを得べし、何故となれば問答契約に因る罰金支払の義務は自己の悪意に因るの利益を受けざることを条件としてのみ之を請求し得べきものなればなり。然れども若し仲裁契約に『若し本件に付て悪意を以て何事かを為したるときは』云々と特示したるときは問答契約の訴権に依りて悪意の行為者を訴ふることを得、故に若し金銭若は栄誉を以て仲裁人又は相手方の弁護人又は自己の事件の委託を受けたる者の或者を堕落せしめたる者は悪意の約款に依りて之を訴ふることを得べし詭計を以て相手方を欺瞞したる者亦同じ之を要するに仲裁手続の進行中に悪意の行動を為したる者に対しては問答契約上の訴権の適用あるべし随て相手方は悪意の訴権を実行せんと欲するも之を為すことを得ざるべし何故となれば問答契約の訴権を有すればなり。然れども若し仲裁契約に悪意の約款を附加せざるときは悪意の訴権又は抗弁権を行使するの余地あり悪意の約款附加ある仲裁契約は完全のものとす。
【注】

【訳者】
春木一郎
【出典】
春木一郎『ユースティーニアーヌス帝学説彙纂プロータ』有斐閣(1938)
【備考】