【法文】
学説彙纂第4巻第8章第32法文第9項
【法文の典拠】
Corpus Iuris Civilis Vol. I. (ed. 14) Mommsen-Krüger, Digesta, MCMXXII
【inscriptio】
Paulus libro tertio decimo ad edictum
パウルス(告示註解第十三巻)
【翻訳】
又若し或者が羅馬に於て仲裁契約を締結し一旦同市を去り其の後使節として再び同市に来たりたるときは仲裁人は、判断の宣言を強要せらるべきに非ず是れ若し当事者が未だ争点決定を為さざるときは同一の場合に於て訴訟を進行せしむることを強要せられざると相同じ、而して仲裁契約締結の当時にも当事者が使節として来りたる者なるか否かは問ふ所に非ず。然れども若し其の者が現に使節として羅馬に在りて仲裁契約を為すときは予は仲裁人は判断の宣言を強要せらるべきものなりと思惟す何故となれば若し其の当事者が自己の発意を以て争点決定を承諾したるときは訴訟継続を強制せらるべければなり。然れども此の点に付て疑を抱く者無きに非ず但し十分の理由為し、当事者が使節として羅馬に在りたる当時に契約したる事件に付て尚使節たる間に仲裁契約を締結したる場合に付ては是等の者と雖も決して疑を抱かざるべし、何故となれば此の如き事件に付ては当事者は争点決定の承諾を強要せらるればなり。最初の場合に関しては考察すべき一事あり即ち若し使節が曩に羅馬を去る前に仲裁契約を締結したるときは使節が自ら請求すれば仲裁人は判断の宣言を強制せらるべきや否やの論点是れなり、仲裁人は強制せらるべしと為すは一応は不衡平なりと認められたり何故となれば仲裁人が強制せらるると否とは当事者の任意と為ればなり。然れども此の場合は当事者が訴訟を提起することを欲するときは之を為し得ると同様為るべし。
 然れども此の如き仲裁契約は普通の訴訟と同一視すべきものとす随て当事者が仲裁人をして判断を宣言せしめんと欲する場合に其の希望の聴取せらるべきは当事者が被告となりたる場合と異なる所なし。
【注】

【訳者】
春木一郎
【出典】
春木一郎『ユースティーニアーヌス帝学説彙纂プロータ』有斐閣(1938)
【備考】