【法文】
学説彙纂第46巻第1章第15法文[債務者の意思に反する抗弁の援用、共同保証人の一人に対する不訴求の合意]第1項
【法文の典拠】
Th.Mommsen, Digesta Iustiniani Augusti vol.2, 2.Aufl., Berlin 1963
【inscriptio】
Idem (Iulianus) libro quinquagensimo primo digestorum
同人[ユーリアーヌス](法学大全第五一巻)
【翻訳】
二人があなたに対して、二〇金につき、保証をなした。一方の保証人は、あなたの訴求を免れるために、あなたに五金を与えた、あるいは五金の諾約をなした[不訴求の合意]。このとき、他方の保証人は解放されず [1]、あなたが一五金につき、彼に訴えを提起しても、何らかの抗弁によって排斥されることはない [2]。だが、残りの五金につき、あなたが先の保証人に[保証債務履行の]訴えを提起したならば、悪意の抗弁によって排斥される。
【注】
[1]当該合意が、人的不訴求の合意だからであろう(cf.Paul.D.2,14,21,5; Ulp.D.2,14,22)。
[2]債権者と保証人の一方との間での不訴求の合意により、他方の保証人は、弁済しても債権者から訴権の譲渡を受えない。しかし、それにもかかわらず他方の保証人が解放されないのは、fideiussioにおける担保保存義務の否定を意味している。 これに対して、貸付委任では、訴権譲渡の不能が保証人を免責するが(Pap.D.46,3,95,11)、これは訴権譲渡が、債権者(受任者)の保証人(委任者)に対する委任契約上の義務(取得物引渡義務、Paul.D.17,1,45,5)であり、その違反が契約責任を生ぜしめるからである。
【訳者】
遠藤歩
【出典】
法学会雑誌(東京都立大)第46巻1号 (2005年9月)
【備考】