【法文】
学説彙纂第46巻第1章第19法文[奴隷の保証と奴隷の弁済]
【法文の典拠】
Th.Mommsen, Digesta Iustiniani Augusti vol.2, 2.Aufl., Berlin 1963
【inscriptio】
Idem (Iulianus) libro quarto ex Minicio
同人[ユーリアーヌス](ミニキウス注解第四巻)
【翻訳】
奴隷が主人の不知の間に、ある債務者のために保証をなし、その保証に基づき金銭を支払った。ここで、主人は弁済受領者から取り戻しをなしうるかが問われた。私[ユーリアーヌス]は、どのような名義で保証がなされたかによって異なる [1]、と解答した。すなわち、特有財産名義で保証がなされた場合には、もし弁済が特有財産からなされたのであれば、主人は返還を求めることができず [2]、主人の財産から弁済されたのであれば、所有権に基づき取り戻すことができる [3]。他方、特有財産以外の名義で保証がなされた場合には、主人の財産で弁済された物は、同じく所有権に基づき取り戻しえ、さらに特有財産から支払われた物でも、不当利得として取り戻しうる [4]。
【注】
[1]主人が特有財産訴権の責を負うか否かにつき、同様の区別をするUlp.D.15,1,3,5参照。もっとも、家子による保証の場合には、特有財産名義か否かに拘らず、家長は常に同訴権の責を負う(Ulp.D.15,1,3,9)。
[2]Cf.Paul.D.12,6,13pr.
[3]Cf.Paul.D.12,6,15,1.
[4]自然債務すら存在しないから。
【訳者】
遠藤歩
【出典】
法学会雑誌(東京都立大)第46巻1号 (2005年9月)
【備考】