【法文】
学説彙纂第46巻第1章第5法文[保証人による主債務者の相続、連帯債務者の一方による他方の相続]
【法文の典拠】
Th.Mommsen, Digesta Iustiniani Augusti vol.2, 2.Aufl., Berlin
1963
【inscriptio】
Idem (Ulpianus) libro quadragensimo sexto ad Sabinum
ウルピアーヌス(サビーヌス注解第四六巻)
【翻訳】
ユーリアーヌスは、一般的な言葉で述べて曰く、ある者のために加入した者が、その者の相続人となったならば、従たる原因関係からは解放され、債務者の相続人たる資格でのみ責を負う、と。それゆえユーリアーヌスは、保証人が主債務者の相続人となったならば、債務者として責を負い、保証を原因とする関係からは解放されるが、しかし、主債務者の一方が他の主債務者を相続した場合には、債務を二重に負担する、と記している。この場合には、どちらの債務が他方の債務を消滅させるのか、明らかにしえないからである。保証人と主債務者の場合には、[この消滅関係は]明らかである。なぜならば、主債務の方がより重いからである。つまり、両債務の間に何らかの相違が存する場合には、どの債務が他方の債務により消滅させられるかを決することが可能である[負担の重い債務が軽い債務を消滅させる]
[1] が、両債務の内容が等しい(eiusdem sint potestatis) [2]
場合には、その決定は不可能である。なにゆえに、この債務ではなく、あの債務が消滅するといえるのであろうか。ここで、ユーリアーヌスは、ある事例と関係づける [3]
ことにより、二つの債務が一人のうちに競合することは、新奇なことではない旨を示そうとする。それは次のような事例である。連帯債務者の一方が、他方の連帯債務者の相続人となった場合、彼は二つの債務を負担する。同様に、連帯債権者の一方が、他方の連帯債権者の相続人となった場合にも、彼は二つの債権を有するといいうる。そして、当然のことながら、一方の債務を訴求したときは、それによって両債務が消耗する。なぜならば、彼の有する二つの債務の性質は、明らかに、一方の債務が裁判上行使されることにより、他方が消耗する関係にある、というものだから。
【注】
[1]
この理から、主債務者が保証人を相続する場合(Iuli.D.46,1,14)も、第三者が主債務者と保証人の双方を相続する場合(Diocletian.C.8,40(41),24(a.294))も、保証債務が消滅させられる。なお、Afr.D.46,1,21,2参照。
[2] これが消耗競合を肯定する。
[3] Cf.Scaev.D.46,3,93; Venuleius D.45,2,13.
【訳者】
遠藤歩
【出典】
法学会雑誌(東京都立大)第46巻1号 (2005年9月)
【備考】