【法文】
学説彙纂第46巻第1章第69法文[保証債務と後見債務の競合]
【法文の典拠】
Th.Mommsen, Digesta Iustiniani Augusti vol.2, 2.Aufl., Berlin 1963
【inscriptio】
Tryphoninus libro nono disputationum
トリポニヌス(論争集第九巻) 
【翻訳】
家子の後見人に就任した者が、家子に対する保証債務を負担していたとき、後見人は、自身から回収する義務を負い、たとえ期間満了によって[保証債務からは]解放されたとしても [1]、後見訴訟で責を負わされる。また、このことは、後見人の相続人についても同様である。なぜならば、相続人に対する訴えは、保証に基づくものではなく、後見を原因とするものだからである [2]。そして、保証人ではなく、後見人として弁済した場合でも、さらにそれが期間満了による[保証債務からの]解放後であったとしても、後見人は諾約債務者[主債務者]に対する委任訴権を有すると、私[トリポニヌス]は述べた。なぜならば、あくまでも主たる債務の追求に関して二つの原因[保証と後見]が競合しているにすぎず、後見人の弁済は、諾約債務者を被担保債務から解放するからである。訴権の名義ではなく、債務の原因が考慮されねばならない [3]。それゆえ、たとえ未成熟債権者の債務者の保証人が後見人であり、彼が自らの助成による弁済を未成熟子になしたのだとしても、後見人たると同時に保証人でもある彼は、諾約債務者[主債務者]の解放を通じて解放されるのである。このことは、[本来]自らの助成によってはなしえないことではあるが [4]、しかし、もし後見人が、自身のために弁済する意思ではなく、専らティティウス[主債務者]を解放する意思で行為したのであれば、[未成熟子の債権は消滅し、]ティティウスに対する委任訴権が与えられるべきである。
【注】
[1]Cf.Ulp.D.17,1,29,6.
[2]Caracalla C.5,54,3(a.213).
[3]Cf.Sep.Sev. et Caracalla C.4,28,3(a.198).ただし、Ulp.D.15,1,3,11は反対か。
[4]被後見人の弁済受領により後見人の債務を消滅させることは、利益相反行為となるから、後見人は弁済受領行為に助成を付与することができない(cf.Labeo D.26,8,22)。
【訳者】
遠藤歩
【出典】
法学会雑誌(東京都立大)第46巻1号 (2005年9月)
【備考】