【法文】
学説彙纂第46巻第1章第70法文[被担保債務と保証債務の負担の重さ(条件の付加、条件の相違、制限物権)、奴隷の要約による保証、精神錯乱者を債務者とする保証、良俗に反する債務の保証]第5項
【法文の典拠】
Th.Mommsen, Digesta Iustiniani Augusti vol.2, 2.Aufl., Berlin 1963
【inscriptio】
Gaius libro primo de uerborum obligationibus
ガーイウス(言語債務論第一巻)  
【翻訳】
不法行為者のために保証人を立てることができないと一般に言われるが、このことは、盗の被害者が罰金[訴権]のために保証人を得られない、との意に理解されてはならない [1](不法行為の罰金は、弁済しうるものであること自明である)。そうではなく、共同で盗をなした者の一人が、盗による自己への分け前を求めているときに、その分け前を担保するため、保証人を義務付けることはできない、あるいは、他人の励まし(hortatus) [2] により盗の実行を計画した者が、盗の罰金をその他人が支払うことを担保するために、保証人を得ることができない、との意に理解すべきである。これらの場合に保証人の債務が否定されるのは、当然のことながら、卑しい事柄のために結成された組合は何らの効力も有せず [3]、したがって保証人の加入が理由なきものとなるからである。
【注】
[1] Ulp.D.46,1,8,5; Paul.D.46,1,56,3.
[2]行為者を援助(ops et consilium)したのではなく、励ました(hortatus)だけでは、共同不法行為は成立しない(Inst.4,1,11. Cf.Gai.3,202)。
[3]Ulp.D.17,2,53; Ulp.D.17,2,57; Gai.D.18,1,35,2.
【訳者】
遠藤歩
【出典】
法学会雑誌(東京都立大)第46巻1号 (2005年9月)
【備考】