【法文】
学説彙纂第46巻第1章第71法文[連帯債務者に対する貸付委任と債権者債務者混同の相対的効力、不訴求の合意を受けた債務者に対する求償、利息付貸付委任]序項
【法文の典拠】
Th.Mommsen, Digesta Iustiniani Augusti vol.2, 2.Aufl., Berlin 1963
【inscriptio】
Paulus libro quarto quaestionum
パウルス(質疑録第四巻)
【翻訳】
グラニウス・アントニヌスは、ユリウス・ポッリオーヌスとユリウス・ルフルスのために、二人を連帯債務者とする金銭貸付を、アウレリウス・パルマに委任した。その後、一方のユリウスの財産が国庫に帰属し、また同じようにして、国庫は債権者の地位も承継した。そこで貸付委任者は、国庫が債権者及び債務者の地位を承継したことにより、混同の法理に基づき、自己は[委任反対訴権から]解放されると主張した。もし債務者が一人であったならば、保証人と同じように、貸付委任者も解放されることを、私[パウルス]は疑わなかった。というのも、確かに貸付委任者は、主債務者に対する訴えによっては解放されないが、しかし、債権者が債務者の地位を承継したときは、あたかも債務が弁済の法理により消滅したかのように、貸付委任者は解放されるのだから、あるいは、何人もその者のためにする委任をその者に対してなし得ないからである [1]。しかしながら、連帯債務者がおり、その一方を債権者が相続した場合には、果たして他方の債務者は、あたかも金銭が弁済されたかのようにして解放されるのか、あるいは、債務の混同により一方の債務者のみが除かれるのかは、まさしく疑問である。だが私[パウルス]は、相続により債務が混同し、人が排除されると考える [2]。そして、従たる当事者が解放される理由は、同一人を主債務者かつ債権者とする[保証]債務を負担しえないがために [3]、彼らも債務を免れることにならざるをえない、というものである [4]。それゆえ、連帯債務者の他方が解放されていなければ、彼の保証人または貸付委任者も解放されないのである。もっとも、彼[保証人または貸付委任者]は、委任訴訟で[債権者と混同した連帯債務者に]求償をなしうるのであるから、もし債権者から訴求されたときは、債権者に対しても悪意の抗弁で対抗しうること明らかである [5]。そしてまた、債権者は、[連帯債務者間に]組合が存しなければ、連帯債務者の他方に全額を、組合が存すれば半額を訴求しうる。しかしながら、債権者が保証人を相続し、あるいは保証人が債権者を相続した場合には、[保証]債務の混同は主債務者を解放しないというのが適切である [6] と、私[パウルス]は考える。
【注】
[1] Cf.Gai.D.17,1,2pr(mandatum tua tantum gratia).
[2]同旨Afr.D.46,1,21,4、反対Pap.D.46,1,50.
[3]Afr.D.46,1,21,3. Cf.Paul.D.46,1,56,1.
[4]つまり、弁済の擬制による解放ではない(反対、日民第四三八条)ため、少なくとも混同当事者の負担部分については、絶対効を認めるべきか否かの問題(肯定Code civil art.1209 et 1301 al.3、反対§425UBGB)が生ずる。法文の続く部分では、悪意の抗弁を介して肯定されている。
[5]返還すべき物を訴求する者は、悪意の抗弁で対抗される(Paul.D.44,4,8pr.)。この理は、債権者が連帯債務者の他方を訴求した場合にも妥当する。
[6]Afr.D.46,1,21,3/5.
【訳者】
遠藤歩
【出典】
法学会雑誌(東京都立大)第46巻1号 (2005年9月)
【備考】