【法文】
学説彙纂第46巻第3章第94法文第3項
【法文の典拠】
Th.Mommsen, Digesta Iustiniani Augusti, 2 Bde, Berlin 1868/70
【inscriptio】
Papinianus libro octauo quaestionum
パーピニアーヌス
【翻訳】
ファビウス・ヤヌアリスからパーピニアーヌスへの挨拶。ティティウスはガーイウス・セイウスに対して、一定額の信託遺贈債務及び他の法律関係に基づく同額の債務を負担していた。右法律関係は、訴求しえないが弁済物は取戻し得ない、というものであった。ティティウスの奴隷が、管理人として、主人の不在中に一つの債務に対応する額を支払い、債務全額が支払われた旨の担保問答契約を結んだ。この時、支払われた物はどちらに充てられたのかが問われ、私[パーピニアーヌス]は以下のように解答した。すなわち、もしティティウスとセイウスの担保問答契約の文言が、「全ての債権(creditum)を支払った」というものであれば、右の債権という文言は信託遺贈債権を指し、訴求しえないが弁済物は取戻し得ない旨の債権を指すのではない、と考えられる。のみならず、ティティウスが主人の不在中に管理人として、金銭[の市民法上の]所有権が移転することのないようにと、抗弁の提出しうる債務を表示して支払った場合ですら、右の債務は支払われたものとはみなされない。なぜならば、支払う必要のない金銭を支払うために主人が奴隷を立てるということは、奴隷が特有財産の範囲外で負担した債務を支払うことと同様、考えることが困難だからである。
【注】
【訳者】
遠藤歩
【出典】
法学会雑誌(東京都立大)第45巻1号 (2004年7月)
【備考】